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シリーズ Ⅱ 柳田国男に学ぶ ⑤ 出雲神魂神社の「カモス」について

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地名研究者出雲大会の2日目、エクスカーションCコース

で訪れた神魂神社。

事前の予定コースには無く、当日、希望者のみの参拝と

なったため、学習が足らず日本最古の大社造りの神殿と知

らず、訪れてびっくりしました。

帰ってきてから、調べてみてまたびっくりでした。

 

国宝に指定されるほんの少し前の昭和27年1月、柳田国男は、日本民俗学研究所の第69回研究会で、神魂神社

の呼び名について次のように話していることを知ったのです。

『民間伝承』第16巻第4号に載った研究会報告で、『柳田国男全集』第32巻に載っていました。

以下、柳田見解を紹介します。

「出雲に神魂と書いてカモスとよむ社がある。それに関連して、新資料が見つかつた。宮古島の伊良部島にカ

モスという祭がある。大森義憲氏の採集記に同島に乗瀬オタケの由来記があり、旧家に老夫婦と娘とがいて娘

が行方不明となり、数ケ月たつて帰つてきてオタケの神になると告げた。その祭をカマズとむいつて今も行つ

ているというのであれからる。難船して衣料を食つた者が、このオタケを祭つたところ西風が吹いて安着し

た。それからカマスクダリという祭が行われ、山にこもつて祭ると雨がふる。カマスアガリといつてその山ゴ

モリが終わると晴れて西風がふく。一年に二度この祭がある。これを神子(カマス)と書く。特に神の魂をよぶ

ことをカマスという場合があつたのではないか。古い日本語のうちにそのような使い方があつたかどうか調べ

てみたい。伊良部のサマハラは宝貝の産地で有名な処である。そこは航路としても重要な土地であるから中国

の風神媽祖の話と連絡はないだろうか。神オロシの一つかと思う。」

大森義憲は、山梨忍野村出身の民俗学者。

柳田との年齢は随分離れているものの、郵便局長をしながら柳田、折口と連句をまくなど民俗調査以外の逸話

も多い。

この後、成城大学民俗学研究所の『諸国叢書』の大森の報告を読んでみることにします。