6月に刊行された『柳田國男全集』の紹介記事です。
今回の全集で、初めて発表となるもののひとつ。
たった一首の歌ですが、背景には、いくつものドラマがあります。
この記事にも書いてあるように、ロンドンに来た日本の代議士のひとりが「天罰」発言をし、
それに対して猛然と異議を唱えた柳田がいます。
きっと、スコットにも、この苛立ちを伝えたことでしょう。
(このことについては、2011.4.29のブログを見てください。)
そして、もうひとつの背景には、ロバートソン・スコットとの生涯通じての友情があります。
(このことについては、いずれご紹介します。)
さらに、この歌を発見したのは、イギリスの詩人ニール・フィリップで、スコットが住んでいたオックスフォード
近くの村イドバリーの邸宅に住むことになったのでしょう。
発見した日本語の短歌について質問もふくめて、日本の友人、詩人である木島始氏に送った
ということです。
木島さんも柳田の短歌であることにびっくりして、筑摩書房の全集編集部に持ち込んでくれた
のです。
その時の木島さんのファックス文には、ニールと一緒に「四行連詩集」を作っていることと、見つけた
ニール自身も「パリパリの民俗学者」なので「よけいに面白い」とあります。
さらにドラマは、この発見が2002年6月のことで、もう13年も前ということです。
私たちが、その時知って興奮してからひと昔以上前のことで、その間、後藤先生も木島始氏も
鬼籍に入られました。
「ドラマ」というと失礼ですが、この10年以上、世に出ることを待っていた「歌」と考えると
全集刊行が遅れていることのお詫びもあって、よけいに身にしみます。