編集作業が難航し遅れていた『柳田國男全集』第35巻が刊行されました。
論考篇最後の巻で、未発表草稿も含まれ、資料的にも内容的にも
必見のもの多数収録です。
全集は、あと3巻というところまで漕ぎ着けました。
次の36巻は、書簡篇。
そして別巻Ⅰが、補遺篇と、私が今作成中の年譜です。
書簡も含め、年譜事項の情報お寄せください。
第35巻の主なおすすめ内容。
平成2年から現在までに活字で発表されたもの。
・大月松二氏の「柳田国男聴書」。飯田のみなさんのご努力ですでに翻刻、発表されたものですが、一挙
掲載。内地留学生として民俗学研究所に入った大月が、柳田の傍らでその言葉を忠実に記録したもの。
未発表草稿、講演・インタビュー記録、カード類
・柳田の読書記録「困蟻労程 第四」。すでに発表されている「第三」に続くもので、柳田家に保管され
ていた続きの綴り。
単なる読書記録でなく、備忘録でもあり、この巻に収録した「三倉沿革」と合わせて読むことことをお
薦めします。
・「三倉沿革」は、すでに発表されている「三倉沿革論大要」だけでなく、その前後の研究資料すべてを
翻刻し掲載している。新たな研究の可能性大。
・柳田家のルーツを辿った「柳多氏ノコト」。柳田が、「ヤナギタ」と「タ」にこだわったのはここにあるの
かと推測できるもの。
その他、のちに吉本隆明の書誌研究で知られるようになる川上春雄(本名 折笠義治郎)のインタビューに
答えたと思われる「会津の若い人に」など話題性のあるもの多数掲載。
ぜひ手にとって見てください。
大小さまざまな疑問、研究課題がみつかるはずです。